胸膜疾患
悪性胸膜中皮腫
肺の表面から肋骨の裏は一枚の胸膜という袋になっており、その袋の中を胸腔といいます。胸に水がたまる胸水はこの袋の中(胸腔)に水がたまった状態をいいます。その胸膜にできる腫瘍です。胸膜が厚くなり、胸腔に胸水が溜まり、肺がつぶれるため、胸痛、息切れ、咳等が多く認められます。呼吸困難がある場合には、胸水を抜く処置をします。
悪性胸膜中皮腫は、古い建築物などの断熱材や耐火材などに含まれている天然鉱物繊維アスベスト(石綿)の曝露(吸入)から平均30~40年前後して発症することが多いため、60歳代の人に多く、また、喫煙によって発症率が増加します。
組織型は、上皮型、肉腫型、二相型、その他に分けられ、上皮型が50~70%を占めます。
診断は胸腔鏡で胸膜生検を行い、経験豊富な当院の病理医が診断します。
治療は、抗癌剤治療や手術を進行度によって行います。
胸膜摘除・肺剥皮術を行っています。肺を残すことで術後の体力は温存され、回復も早いです。特に当院では、“全胸膜摘除・肺剥皮術+術中温熱シスプラチン灌流療法”を施行し、退院後に化学療法を用いた集学的治療を行っています。今までに50例以上行っており、関東を中心に全国から紹介され、全国有数の経験があります。